~生還して初めて気づいた~「普通」の景色が、こんなにも美しかったこと
退院の朝、病院の出口を出たところで、足が止まった。
道端に、小さな花が咲いていた。
名前も知らない、雑草みたいな花。
なぜか、涙があふれてきた。

生きて、外に出た
長い入院生活が、ようやく終わりを迎えた。
医師から「回復しています」と告げられてからも、本当に退院できる日が来るのだろうか、そんな不安が心のどこかに残っていた。
けれど、その待ち望んでいた朝は確かにやって来た。
荷物をまとめ、何度も歩いた病院の廊下をゆっくり進む。
そして、自動ドアをくぐった。
その瞬間、外の空気が肺の奥まで深く入り込んできた。
風の匂いも、空の広さも、すべてが懐かしく、そして新鮮だった。
ふと足元に目を向けると、道端に小さな白い花が咲いていた。
名前も知らない、きっと多くの人が気にも留めず通り過ぎてしまうような花。
けれど、その日の私には違って見えた。
まるで祝福するかのように、やさしく光を放っているように見えたのだ。
しばらくその花を見つめているうちに、胸の奥から熱いものが込み上げてきた。
なぜ涙が出るのか、自分でも分からなかった。
悲しいわけではない。
苦しいわけでもない。
ただ、生きてここに立っていることが嬉しかった。
空を見上げられること。
風を感じられること。
自分の足で歩けること。
そのすべてが、かけがえのない奇跡のように思えた。
気づけば、頬を伝う涙は止まらなくなっていた。
それは絶望の涙ではなく、生きている喜びと感謝があふれ出した、幸せいっぱいの涙だった。
「当たり前」が消えていた
入院中の私は、何度も「普通の日常」を思い描いていた。
仕事帰りにコンビニへ立ち寄り、好きなものを好きなだけ買うこと。
食べたいものをお腹いっぱい食べること。
気の向くままに車を走らせ、自由に出かけること。
誰にも気を遣わず、眠りたいときに眠ること。
そんな何気ない日常が、あの頃の私には遠い夢のように思えた。
病室のベッドの上で、その当たり前の毎日がどれほど恋しかったことだろう。
そして退院の日を迎え、少しずつ日常を取り戻していく中で、その一つひとつがまるで宝物のように感じられた。
スーパーで好きなお酒やおつまみを自由に選べること。
自宅のお風呂で、時間を気にせずゆっくりシャワーを浴びられること。
慣れ親しんだ自分の部屋で、自分のベッドに横になれること。
以前なら何とも思わず通り過ぎていた出来事ばかりだった。
けれど今は違う。
その一つひとつが、決して当たり前ではないことを知っている。
だから自然と心の中でつぶやいてしまう。
「ありがとう」
「本当にありがたい」「感謝します」
と。
病気になる前は、幸せとは何か特別なものを手に入れることだと思っていた。
でも今は分かる。
幸せとは、当たり前だと思っていた日常の中に、ずっと存在していたのだと。
そして感謝の気持ちは、特別な出来事ではなく、何気ない毎日の中から生まれてくるものなのだと。
健康なとき、私たちは「当たり前」の環境で生きている。
でも当たり前なんて、何ひとつない。
それに気づかせてくれたのは、皮肉にも、大きな病気だった。

養われた感性で、見る目が変わった
世の中は、何ひとつ変わっていなかった。
空はいつもと同じように広がり、道にはいつもと変わらない風景が続いている。
行き交う人たちも、それぞれの日常を生きている。
変わったのは、世界ではなかった。
変わったのは、この世界を見る私自身の目だった。
病気を経験し、死を意識したことで、これまで見過ごしていたものが見えるようになった。
風の心地よさ。
木々の緑の美しさ。
人の優しさ。
そして、生きているということの尊さ。
以前からそこにあったはずなのに、気づいていなかった色が、少しずつ見えるようになったのだ。
振り返れば、あの夜に見上げた星空は、ただ美しかっただけではない。
私に生きる希望を与え、人生の見方を変えてくれた特別な贈り物だったように思う。
だから今は、あの出来事を不幸だったとは思わない。
もちろん苦しく、つらい経験だった。
それでも、その先に大切な気づきが待っていた。
あなたの今日の景色は、どんな色をしているだろうか。
もし今、少しだけ疲れているのなら。
ほんの少し立ち止まって、空を見上げてみてほしい。
あるいは、道端に咲く小さな花に目を向けてみてほしい。
誰も気に留めないような場所にも、小さな命は懸命に輝いている。
そして、その光はきっと私たちのすぐそばにもある。
気づいていないだけで、今日という一日の中にも、たくさんの光が散りばめられているのだから。
生きてるだけで、世界はもうこんなにも美しい。
それに気づいた日から、私の人生は変わった。
あなたが
生きてるだけで…もう「開運」している。
心配しなくて
大丈夫! 大丈夫! だいじょうぶ!
あなたは必ず「開運」して幸せになります!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
—こんびね—



